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 髪を乱しながら怒りに震える彼女は、激しい動悸が起きるほどに苛烈で綺麗だった。
心臓が鷲掴みされて、きっと瞼の裏にも焼き付いている。誰もが口を噤み、異様な光景に戦慄しているなかで彼女の喉の奥が引き攣る悲鳴は雲間から差し込む光のように聞こえて高揚に視界が潤む。
ああ、きっと私は彼女のために生きていたのかもしれない。もっと、もっと早くに会いたかった。傍で息をしている彼女のために。いま以上の苦しみを彼女に与えるために。


/ 終点

8/10/2023, 12:10:48 PM