久しぶりに朝がきた。
「おはよう!わたしちゃん!」
たくさんの懐かしい顔がわたしに話しかける。
ここは誰でも自由になれる世界。
髪型も顔も性格も、もちろん好きなようになれるし、どんなように過ごしたって自由。
みんなにとってもそれが普通で、それが壊れるなんて思ってもいない。
だけど朝がきたと思ったその世界は、突然真っ暗になった。
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気づけば夜になっていた。
外と部屋の境がわからないほどの暗闇のなかで、私はPCを開いた。
あてもなく画面をみていると、ふいに昔プレイしていたゲームを思い出した。
久しぶりにやってみようか。
そう思い起動すると、懐かしい優しい音楽が流れた。
このゲームでは自分のアバターを作って町の中を探検するのだ。
理想の自分をかたどったそれは、私にとって今でも理想の私だ。
もうずいぶんと前から起動させるのが億劫になっていたけれど。
『ゲームにログインしています……』
久しぶりに何をしようかなぁ、あのキャラは元気かな?なんて考えていた、その時。
『平素より「○○」をご利用いただき、誠にありがとうございます。このゲームは2022年11月をもちまして、サービスを終了いたしました。詳細についてはこちらをご覧ください。』
理想のあなた
5/21/2024, 5:40:33 AM