アイスコーヒーを買った。コンビニのボタン一つで抽出されるお手軽なドリップコーヒーではなく、スーパーに安価で売られている氷なしのペットボトルのコーヒーでもなく、専門店の一杯ワンコインのものを。へこまないカップに淹れられたアイスコーヒーはなんだか特別な感じがした。一口飲んでみる。熱で溶ける飴玉のみたいに、コーヒーの濃い風味が少しずつ舌の上で広がっていく。甘味を食べて頬が落ちそうになるのとはまた違う、目が覚めるような美味しさが口の中を静かに通り過ぎ去っていった。カップの中から現れた氷は、細かく砕かれた小さなあられではなく、磨き上げられて透き通った水晶のような姿をしていて、カップを取り囲うように浮かび上がった結露は真冬の霜みたいで、今まさに飲んでいるアイスコーヒーが芸術品みたいに輝いて見えた。
歩いてどれくらいの時間が経ったのだろうか。気が付いたらアイスコーヒーを全て飲み干してしまっていた。美味しい時間は刹那に過ぎ去ってしまうものだと改めて感じた。私の気持ちを代弁するかのように、手に持っているカップはだらだらと汗をかいていた。
4/28/2026, 5:03:53 PM