川原

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「理想のあなた」

10代の終わり 夢の中に出て来た人を
密かに運命の相手だと思っていた
知らない人達と海に行って
お決まりのスイカ割りや花火をしながら
その人は私に何かを言いかけた
何故か運命の人だと思った

いつかはその人に巡り合う気がして
ノートに似顔絵を描き留めたりなんかして
なんて可愛かったのだ 乙女な私
その後すぐに 
夢の人とは似ても似つかぬ薄情者を好きになり
嵐の海へ漕ぎ出すようなドツボな恋を
5年も続ける事になろうとは

あれから随分時が流れて
夢の人の顔も覚えていない

もう何処かで出会っているのかもしれない
これから出会うのかもしれない

とっくにノートは捨ててしまったので
理想のあなたに会えても もう私には分からない


5/20/2024, 10:59:44 AM