自転車に乗って
「ベラ。そこに座って僕にしっかり掴まるんだよ。」
「ヒューイ。私、少しだけ怖いわ。」
「大丈夫だよ。しっかり捕まっておけば怖さなんてなくなるよ。」
「そうね。」
ヒマワリ畑の間にただずっと続く道を君と走る。
夕日が僕たちを照らしヒマワリに負けないようにしてくれる。
やわらかい風が僕たちを撫でる。
「ヒューイ。私、ヒマワリが一番好きな花なの。」
「ベラとヒマワリは物凄く合うよ。でも、ベラはヒマワリよりも美しい。」
少し照れながら笑う君は、本当にヒマワリよりも際立って美しかった。
「ありがとう。ヒューイ。」
自転車に乗って走り続ける。ただこの道を。
やわらかい風が撫ですぎて君は少し舞う。
「もう少しスピードを上げようか。」
「ヒューイ。私もっと空と近くなっちゃうよ。」
「大丈夫さ。ベラ。君の夏は今ここにある。このヒマワリ畑で君は一番美しい。」
「ヒューイ。夕日が眩しいね。」
「綺麗だね。」
来年はもっと多くの君と一つの夏を過ごしたい。
また自転車に乗ろう。
#19
8/14/2024, 10:57:28 AM