《心に穴が空く》
(刀剣乱舞/厚藤四郎)
その本丸で、厚藤四郎は初鍛刀だった。
初々しい審神者を初期刀と共に支えてきた。
負けた時の悔しさも、勝った時の喜びも、修行から戻ってきた時の更なる強さを誇れた気持ちも。
酸いも甘いも味わってきた。
気付けば顕現してから数十年経ち、審神者も随分と老いた。
そしてその命が閉じられる日が訪れた。
鼓動が止まり、冷たくなった審神者を見た時。
今まで戦場で人々の死を見てきた時には感じなかった「喪失感」を抱いた。
人の身を得て初めて実感するこの感情。
厚藤四郎は初めて知るその感情を抱きながら、静かに審神者を弔った
9/10/2024, 10:43:29 AM