喜村

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 夜中のコンビニ、店員が一人もいないのだが……俺は、おにぎりと飲み物を持ったまま、レジの前で立ち尽くした。
 普通なら、品出しをしてたり、とりあえずどこかの清掃をしてたりと、誰かしら一人くらい店員がいるものであろう。
 俺は、顔だけ自動ドアから出て、外のゴミ箱の方を見てみる、しかし、いない。
少し外に出ただけなのに、一気に体が冷える。
 さっさと買って車に戻りたいのに……
 もう一度、仕方なしにレジへと行く。すると、最初は気づかなかったが、レジカウンターに
『ご用の場合は、こちらのボタンを押してください』
と、ボタンがおいてあった。
 人件費削減か、最近はこういうのが主流なのだろうか、気づかなかった俺も悪いので、ちょっと気まずくなりつつボタンを押した。

シャンシャンシャンシャン……

 サンタクロースが登場するかのような、ベルの音がした。
 時期が時期だからなのだろうか、いやしかし、こんなので和んでしまう俺って、疲れているのだろうか。
 とりあえず、面白半分でもう一回押してみた。

シャンシャンシャンシャン……

 童心に戻れる、楽しい呼び出しボタンであった。



【ベルの音】

12/20/2022, 10:26:46 AM