家の掃除も済んでいる。
プロヒーローとしての仕事も納め……はもちろん無い。
が、今日は元旦。昨日休みをもぎ取れたため
元旦にしか集まらないであろうある場所に向かう決意をした。
『行きますか……地獄の親戚の集まりへ』
親戚の子供達へのお年玉の準備はOK、増えていなければ足りる……はず。
ーーーーーー
『私が来た!!!なんてねーーー』
「あっ!!!!姉ちゃん!!!」
「ねねが来た!!!」
「ねぇね!!ねぇね!!!」
なんと私、人気者である。
親戚の集まりの連絡は来ていたが、行けたら行くという返事に皆100%来ないと思っていたのだろう。
あら、母さん父さんも驚いてる。
「お前、仕事は??」
『今日はとりあえず休み貰ってきたからなにか無い限り大丈夫。あ、あけましておめでとうございまーす』
「あんたって本当、連絡出来ないわねぇ……」
父と母の呆れ顔にごめん、と返し
親戚達の挨拶回りをすると、
活躍見てるよ!!
今はフリーでヒーローだろ??
エンデヴァーのサインって貰える!?
など、まあ出てくるミーハー発言。
慣れてるし私もオールマイトオタが近くにいるから
ミーハーみたいな立ち位置にいてしまうけど。
愛想良く交わし、祖母の元へ向かう
『ばーちゃんあけましておめでとう。』
「ん!」
にぱっと笑う祖母を見て、今年も元気なことを確認したあと、
親戚の輪から離れる。
両親が何か言ってくれたのか親戚達からは何も言われなかった。
子供たちにお年玉を渡すと、元気な質問攻めが始まる
ショートってやっぱりカッコイイ!?
デクのがカッコイイよね!?
ダイナマイトが1番だよな!?
1番強いヒーローは誰!?
『……一番かっこいいのはここにいる姉ちゃんに決まってんじゃん!!』
お茶子ちゃんの能力で子供たちを浮かせると、
子供たちは大はしゃぎで喜んだ。
降ろすとまた質問攻めが始まるので泣くまで降ろすのやめようかな、なんて意地悪なことを考えていると
電話が鳴る。
個人の電話ではなく、仕事用だ。
一旦子供たちを降ろし電話の表示を確認すると目をつぶりたくなった
『……はい、』
“あけましておめでとうございます。ホークスです。”
『おめでとうございます。で、何でしょうか。』
“そんな嫌な声出さなくてもいいじゃないですかーーー”
『要件は』
“追ってた事件のアジトが分かりました。制圧するのに人員集めています。”
『……行きます。場所のデータ送ってください』
“その心配ありませんよ”
「俺が案内しますから。」
スマホと外から二重に声がし振り返るとホークスがベランダから顔を覗かせていた。
『ここ2階なんですけど』
呆れる私の声を後ろに、しんっと静まり返った親戚一同。
大人しいな?と振り返ると緊張して固まっていた。
あら子供たちまで。
『姉ちゃんが今度あんたたちが大好きなヒーローのサイン貰ってきてあげるよ』
と言うと、子供たちはもじもじしながら高速で頷いてて笑った。
『誰がいい?』
「ほくしゅ!!!」
いちばん小さい男の子がホークスを指さした。
「俺??ありがとう。今書くよ。色紙ある?」
『あるわけないでしょう。ちょっと待って作るから。』
やおももちゃんの能力って便利だなぁと有難みを感じつつ、色紙を生成する。
それを受け取ったホークスがサインをし、羽を使ってその子を宙に浮かせるなどのファンサをし
わたしの家族の元へ
「ベランダからすいません。元旦なのですがヒーローの仕事に休みがなく…我々が至らぬ為娘さんの力をお借りしたくお迎えに来ました。この仕事が終わったら休めるように上の者に掛け合うので、御容赦ください。」
なんか
なんか
すんごい丁寧なホークス初めて見た。
なんだかこっちが小っ恥ずかしい気持ちになる。
『ホークスさん行きましょう。』
「お父様、お母様、近々またご挨拶に行くのでよろしくお願いします。」
『何言ってんですか。早く行きますよ』
「失礼します。」
『今日多分こっち戻れないからまた連絡するね』
唖然としている親戚たちに挨拶をし、
ホークスの能力コピーで共に現場に……
『って私今ヒーロースーツ持ってないですよ。』
「服も作ればいいんじゃない?」
『コピー能力って万能だけどすんごい疲れるんですからね』
「まあまあ。あ、今年もよろしくね」
ニコニコするホークス。本当に何を考えているか分からないし、
私個人の家や実家ならともかく親戚の家に来ることに対し違和感と若干の恐怖を持ちつつ
元気に元旦から組織の壊滅へ向かおうと思います。
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hrak
補足
ヒロインの個性:パーフェクトコピー
触れた人の個性をそのままコピーし何度も使うことが出来る
しかし1日に使えるコピーの上限は限られている
新年
1/2/2024, 3:55:23 AM