#19 「はなればなれ」
大人になってもずっと親友だよ!
そう約束した子がいる。名前はサキ。
サキとは小学校6年間ずっと同じクラスだった。名簿が前後で、家族ぐるみの付き合いがあった。いつも一緒だった。
昨日、パラパラとアルバムをめくっていたら、小学校の修学旅行の行きの新幹線でサキと私がとびきりの笑顔でピースしているツーショットがあった。ふと、私たちの頭部に目がいった。お揃いのピンをつけていた。ミッキーの柄の水色のピン。それを見て思い出した。誕生日とか特別な日ではないのにサキが「お揃いにしよー!」とくれたピン。写真を見るまで完全に忘れていた。あのピンは今どこにあるのだろうか。
サキは中学校も同じだった。クラスは一度も一緒にはならなかったが、中学2年、3年の時はサキが1組で私が2組だったので、しょっちゅう1組と2組の間の壁際で立ち話をしていた。
高校で初めてサキとはなればなれの日々を送ることになった。私は高校でスマホデビューを果たしたので、サキのLINEは友達伝いにもらった。初めは嬉しくて沢山LINEをしていたが、高校生活に慣れてくる頃にはほぼゼロと言っていいほどLINEでの会話はなくなった。至極当然なことだとは思う。私が高校で新しい友達が増えたように、サキもきっと友達が増えた。会うことがなくなれば会話も減る一方だと思う。
高校3年生の模試の時、サキに会った。市内の高校生が大学に集まって行う模試だった。模試が終わって、帰宅しようと荷物を整理している時、視線を感じた。顔を上げると、視線の先に彼女の姿があった。視線の先、と言ってもかなり距離はあった。模試で混雑していたし、何より遠すぎたので、見間違いかとかと思って1度目を逸らした。もう一度見て、やはりあれはサキだと確信した。大きく手を振った。サキも大きく大きく振り返してくれた。それだけで、「あぁ、私たちの仲は変わっていないんだな」と思えた。なぜだか、そう思えた。
会えなくても、はなればなれでも、私たちはずっと一緒だった。心はずっと繋がっていた。
そして今、私たちは大学生になった。大学は違うけれど、2人とも地元に残っている。もっともっとサキとの時間を大切に過ごしていきたい。
11/16/2024, 12:36:41 PM