『時を告げる』
帰省すると
防災スピーカーから
懐かしいオルゴール調の『夕焼け小焼け』が流れていた。
子供の頃
近くの駐車場や学校の校庭で"かけ十"や"サッカー"、"かくれんぼ"、"ドロ刑"などをしていても
『夕焼け小焼け』が聞こえてくると
皆、慌てて遊びを止めて、「またねー」と走って家に帰った。
『ドボルザークの家路』が聞こえてくると
布団で横になりながら、早く寝ないと怒られると思った。
夏休み、母の実家に帰省して
従姉弟と朝の散歩中に『故郷』が聞こえてくると
なんだか、いつもと違う今日一日がこれから始まるというワクワク感が込み上げてきた。
子供の頃は、
チャイムが鳴ったら、帰ってきなさいという家庭のルール
チャイムが鳴ったら、もう夜遅いから子どもはもう寝てないといけない時間という習慣
チャイムが鳴ったら、今日が始まるイメージ
という大雑把な括りの中で生きていたので
時を告げるチャイムのおかげで
時計を読めなくても、腕時計を持っていなくても
時を知ることができたんだなと思った。
今、住んでいる地域でも、チャイムが鳴っているらしいが
どんなメロディーなのかは
十年以上住んでいるが知らないし、聴こえてきた記憶もない。
大人になり、時間に追われ
携帯電話でいつでも、時間を知ることができるから
時を告げるメロディを頼ることもなくなったからだろう。
また、自分の興味のある音にしか関心が向かず
不必要なノイズとして脳が勝手に処理をしてかき消しているのかもしれない。
もう一度、
耳を澄まして、
今いる地域での時を告げるチャイムに
耳を傾けてみようと思った。
9/6/2024, 3:49:51 PM