令和7年5月3日
お題 「青い青い」
鯉のぼり 青い青い日 風立ちぬ
碧海 曽良
「まだ見ぬ、波濤」 作 碧海 曽良
1990年平成二年早春
一年が巡った事を鶫之子は遠い海に消える霰を見つめながら想っていた。もう海内と育んだ様々なことが想い出に変わり始めている。三月始め雪の卒業式はもう6年前のことで、一年前のことさえ遠い過去のように感じる。一年は短いようでいて長い本当に来年のことを言ったら鬼が笑うとはよく言ったものだ。
遠い海に消える白い霰は白い波に飲まれて消えた。大は小を飲み込み流す。小さな港街に生まれた初恋のなごり雪は、都会の大海原に消えて流れた。けれどひとつの季節が巡り彼女は少し大人になった。
三月の休日にやっと久しぶりに帰省した。
また、今年のお盆も同窓会はあるからと、桐子から連絡があった。お産を控えた桐子は今度はおたかに幹事を譲ったらしい。また、みんな集まるけど、もう海内は来ないだろう来るとしても彼はやっぱりここにはお客さんなんだと之子は思っていた。之子やおこまは帰省を「帰ると」東京へは「いぬ(行く)」と言うのに対し、海内は終始逆であった。そのことを改めて之子は感じていた。「違ったんよな、始めから」
いつになく強い風に波は大きく打ち返し白い波は、あがった。波濤は白く煌めき霰を吸い込んだ、まだ始まったばかり、まだ、こんな優しい波濤なのだと気づく時がやがて訪れる。まだ見ぬ波濤を想いながら之子は空に両手のひらを広げ降る霰を包み込むように掴み頬に両手をあてた、ヒンヤリと冷たくそして美しい溜め息のような霰の雫は頬に吸い込まれて消えた。
生きてゆく、あなたも生きていてね。昨日に背中を押され今を生きる、今の私は未来の私の背中を押す。
なごり雪も
降る時を知り
ふざけ過ぎた
季節の後で
春が来て君は
綺麗になった
去年よりずっと
綺麗になった…
「なごり雪」 作詞 伊勢正三
ありがとう、昨日のわたし
ありがとう、昨日のあなた
まだ見ぬ波濤に想いを馳せて、之子はペダルを踏み込んだ。
1990年代の幕開けだ。
「まだ見ぬ、波濤 第一章 〜青春篇〜」
完
ご挨拶
「まだ見ぬ、波濤 第一章〜青春篇〜」最後までお付き合いしてくださいました方がおられましたら感謝です。このような駄文に読んだよ印くださる方々にも感謝です。
やっと、第一章が終わりました。約一ヶ月で一章と考えておりましたので、どうにか形にはなりました。後半なんだかお題の方にも背を押して頂いているように勝手に感じながら、お題製作の方々にも感謝したい気持ちです。有り難う御座いました。打ちひしがれること度々で、何十年か時を遡り「耳をすませば」の月島雫になったような気分で御座いました。雫おばあちゃんと言いますか(笑)
さて実は、この話は、まだ続きます笑笑
「まだ見ぬ、波濤 第一章〜青春篇〜」は、バブル全盛期が舞台でしたので、次は「まだ見ぬ、波濤 第二章〜堕落篇〜」です。バブル崩壊期を舞台に描きたいなと思っております。ご察しの良い方ならば、どの日に向けて描いているのか、もうお気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが筆力及ぶ限りその日を目指して描き進めたいと思っておりますので、興味のある方暇つぶしにでもどうぞ。
GW家事所用のためしばし「まだ見ぬ、波濤第二章」はお休み頂きます。お題はぼちぼち神出鬼没で。
それでは、皆様良き休日を
ては、また SeeYou.
後書き
ううん、揺れへん揺れへん(爆)
青い嘘ってなに笑笑 相手を思ってつく嘘?優しい嘘のつもり?いやいや所詮それ自分がハブになりたくなくて自分が独りになりたくなくて自分が優しい気の利く人に寄り添える人だと思われたくてあざとく口からでる自分本位の言霊やがてその言霊は因果応報で自分を苦しめるんでしょ因果応報嘘は嘘を生む嘘を守るために嘘をつき、やがて青色吐息、覚悟がないから、地獄の閻魔の前でも突き通す。そう、だって始まりが自分が良く思われたくてついた優しくありたい、寄り添ってる人と言われたいあざとい心から出た言霊だからです。
それと、「まだ見ぬ、波濤」をノンフィクションだと思って読んでらっしゃるイタイ方はおられないとは思いますが、そんなリアルですかね?爆笑です🌾🦜🌙 そういうの解離性障害とか言うんじゃない?いらっしゃらないと思いますがお気を付けて。勿論 「まだ見ぬ、波濤」はフィクションです🌾🦜🌙
5/3/2025, 10:40:08 AM