秋晴れ
カラカラと乾いた音が聴こえる。自宅のハムねずみが滑車を回しているのだろうか。カラカラカラカラ。本来なら、聴こえるはずもないのに。
問いの文字を視線が滑った。その先に続く文章を目で追う。文字は音に訳されても意味にはならない。だから何度も読み返す。カラカラと、頭が空回りするような音が脳内で鳴り続く。
気づいたら試験日だった。慌ただしい夏が終わり、ようやく過ごしやすい気候になった。一息つき、二息つき、変わった自分を受け入れ、変わらなかった自分を受け入れた。夏が散らかした私を整理していると、もう秋が過ぎ去ろうとしていた。
なんだかなぁ、と思う。必死に乗り越えた夏は、それはそれで楽しかった。だけど、このまま冬を迎えていいかと聞かれると、首を傾げてしまう。実際、今のままではダメなのだ。この解答用紙が物語っている。
チャイムが鳴った。さっさと帰路に着く。
秋晴れの空が広がっていた。それを見上げた時、私は白紙で出すべきだったと思った。その空には私が探しているものがあった。夏がどうとか、冬がどうとかは何も関係がなかった。ただ清々しいほどの青だけがあった。
一からやり直すのも悪くないか。
天に向かって大きく伸びをすると、涼しい秋風が吹き抜けていった。
10/18/2024, 2:41:49 PM