語り部シルヴァ

Open App

『幸せとは』

仕事の休憩中、どデカいため息をついた。
仕事疲れとかそんなのじゃない。もっと...
「どうした?大丈夫か?」
背中から声をかけられ振り向くと上司がいた。

「あ!お疲れ様です!すみません見苦しい所を...」
「気にすんなよ。で、なにかあったのか?」
上司に問われなんでもないというのも
失礼かと思い心情を打ち明けた。

「特にこれ!って訳じゃないんですけど、
帰ってお風呂にご飯食べて寝てまた出勤...
充実はしてるんですけど、もっとこう...
幸せなことないかなって。」

「あー...確かにわかるな...趣味とかないのか?」
「あるにはあるんですけど、
ゲームとかそんなのしかなくて。」
「自分の趣味をそんなの扱いするな。
お前の趣味はお前しか理解できないんだから
もっと趣味を誇らしく持つんだ。」
「じゃあ...家に帰ったらゲーム三昧でも...?」
「自分の趣味に没頭できるってことじゃないか!
素晴らしいことだ!」

そう言いながら軽く背中を叩いてくる上司に
気分が少し晴れる。
「じゃ、私もお昼にしてくる。お互い昼から頑張ろうな。」
そう言って離れる上司に思わず問いかける。

「あの!上司にとって幸せってありますか!」
一瞬足を止めた上司は
「お前みたいに悩んでるやつに笑顔になってもらうことだ」
と言ってこちらを振り向かず歩いていった。

語り部シルヴァ

1/4/2025, 11:02:31 AM