komaikaya

Open App

『秘密の標本』の情景3篇

その1:

「先月に『秘密の箱』ってお題、ありましたよね?」
「ですねー。秘密シリーズ?笑」
「お題がまさかのシリーズ化笑。今月は『標本』……ってことは来月は、封印、風景、風船とか?」
「あーなるほど、そう来ますかー。いや風船て笑」
「で、さ来月は部屋かヘソクリ」
「うわー現実味あるー」


その2:

「先輩。この『秘密の標本』ってなんスかね?」
「なにも言うな。プロの引っ越し屋なら黙って運べ」
「でも全部の箱にわざわざ書いてあるのってのが、」
「中身が標本だってわかるだけ、まだマシだ。あと詮索はもういいから、黙って仕事しろ」
「あーこの箱の感じ。瓶と、なんか液体が入ってるっぽいんスけど……あっ。この研究室ってほら、両生類学の、」
「っ、言っとくがな! 俺はそっち方面のそういうのは大っ嫌いなんだよ! ついでにお前みたく思ったことなんでも口にする後輩も大嫌いだ、コンチクショー!」


その3:

「教授のクソ野郎……『新しい研究室はとっても広くてキレイだから見においで』って……」
「完っ全に騙された! これ全部ここにいるオレらだけで開けて棚に分類整理し直すとか、無茶ブリすぎるだろ?!」
「ってか梱包したの誰だよ? いくら部外秘だからって箱に『秘密の標本』しか書いてないって、おかしいだろ? 番号振って別でリスト作るくらいのこと、思いつけよ!」
「だって! 教授が私たち呼びつけたの、研究室退去日の2日前だったんだよ?! 」
「詰めるだけで精一杯だったっての!」
「その割に『秘密の標本』って、全部の箱にキッチリ書いてるのがウケるよな〜?」
「それは……引っ越し業者さんへの牽制になるから、って教授の指示だったの! そのほうがたぶん丁寧に運んでくれるからって……画数多いのに……っ、書くの、クッソめんどくさかった……」
「あー……悪かった、泣くな。とりあえず……教授にピザかなんかタカリに行ってくるから、な?」

11/3/2025, 1:42:07 AM