これは失恋の物語。 はじまりは、星が輝くレストランにて。
星を見る度に
初恋を思い出して泣いているんだ。
貴方を探す度に
どうしようもなく惹かれている自分がバカバカしくなるんだ。
「僕の恋人はあの夏の夜空に大きく見える一等星のアルタイルなんだ。とても神秘的で強く美しいだろう」
そう嬉しそうにレストランで頬杖をつきながらうっとりと星座を魅入る貴方を横目で見て私は重たいため息をついた。
つまらない。
私に関心がない貴方がつまらない。
せっかく夜空の星が綺麗と噂のロマンチックなレストランに連れてきたのに貴方がそんな様子じゃつまらない。
貴方の気を引きたくて必死な私がつまらない。
気に入らないわ。
私の片思いしている幼なじみには同性の恋人がいる
あの子は栗色のふわふわしたくせっ毛に黒曜石のように真っ黒でアンニュイな瞳、化粧してないはずなのに頬はうっすらピンクで形の良い唇は薔薇色、まるで神話に出できそうな美人さんだった。
それで性格も優しくて穏やかで非の打ち所のないからとても憎めなかった。
誰もがあの子に魅入った
私の幼なじみも例外ではなかった。
幼なじみの貴方はすぐあの子に一目惚れして懸命にアタック
私はあの子と仲が良かったから仲介役を頼まれたり食事や遊びのセッティングをお願いされたりで正直きつかった。
でも断れなかったのは貴方との関係が崩れるのが嫌だったしなにより頼られてる感じで少し嬉しかったから…
貴方とあの子はだんだん距離が近くなって私はそれを眺めているだけでとうとう2人は付き合ってしまった。
別れてしまえばいいって私が居て幸せを心から願えない私が居て
吹っ切れたいのに長年の片思いは切れなくて
そんなモヤモヤした気持ちを胸にしまい込んで、忘れてしまいたくて目を閉じていたら通知が1件来ていた
___どこか星が綺麗な所知らないかい?良かったら一緒に行こう。
私は少し時間を置いて
いい所があるよ、一緒行こう。
と返信した。
ちょっとした期待だった。
上手くいってないんじゃないかとか自分にもしかしたら気持ちが行ったんじゃないかとか
そしたらなんだ惚気かよ…
あの子の事を貴方は1番好きな星座の一等星のアルタイルに例えて惚気けだす
聞きたくない、逃げ出したい
本当は
本当は私がその位置にいるはずだったのに
私があなたのアルタイルだったはずなのに
なぜ私は貴方の一等星になれないのでしょうか
なぜあの子なのでしょうか
もうそう願っても遅い
6/3/2022, 3:47:32 PM