名も無き小説家

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        『手ぶくろ』

季節は冬になり
日を追うごとに寒さが増してくる

風は冷たく
僕はジャケットのポケットに手をいれる

そろそろ手ぶくろをしないと

そう思いながら僕は早足で家に帰る

ばあちゃんに編んでもらった
手ぶくろをタンスから引き出した

成長するたびに新しい手ぶくろを編んでくれたよな
ばあちゃんは僕が大学を卒業してすぐ病で亡くなった

今でも手ぶくろは大事に使っている

とても大切に


さて買い出しに出かけようか

今日は一段と冷え込むし鍋だな

僕は手ぶくろして家を出た

赤く染まる夕暮れ時の空を見上げた

ありがとうな婆ちゃん


END-名も無き小説家-


12/27/2023, 1:33:38 PM