ほろ

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同級生の羽鳥さんは、よく教室からいなくなる。
昼休みと放課後は特に。どこに行ってるかは知らない。一度追いかけようとしたものの、校舎を出たあたりでバレてしまって諦めた。それ以来、探ることはやめた。

でも、最近の羽鳥さんは様子がおかしい。
毎日教室から出て行っていたのが、週一回になった。ぼんやりと外を見ることが増えた。その仕草はなんだか、恋をしているように見える。
僕は、意を決して話しかけることにした。
「羽鳥さん、何かあった?」
頬杖をついていた羽鳥さんは、僕の方を見て、また視線を外にやった。
「何も」
ぶっきらぼうに言い放つ。拒絶の姿勢だ。
しかし、諦めるわけにはいかない。追いかけようとして諦めたあの一回を、僕は後悔したから。
「でも、最近外に行かないよね? 何か悩みとか……」
「…………太陽が」
「太陽?」
「太陽が欲しかったけど、届かなかった」
それと週一回外に行くのと、何の関係があるのだろう。
僕は質問しようとした。でも、羽鳥さんはそれ以上太陽について話さなかった。
太陽が欲しい。人が望むにはすぎた願いだけれど、何か理由があるのだろう。
「手に入るといいね」
「……そうだね」
最後に呟いて、羽鳥さんは机に伏せた。

3/26/2024, 11:58:09 AM