教室から見える紅葉が色づいてとてもきれいだ。
「レンちゃん、もう秋だね。そろそろ僕と付き合ってよー」
「やだ、あたしより体重軽い子とは付き合わないもん。いつも言ってるでしょ」
もぐもぐ。メロンパンを頬張りながらレンはけんもほろろ。
シュウは机に突っ伏した。
「何でだよー、俺、体質的に太れないんだよ、頑張っていくら食べてもダメなんだよう」
めそめそ。
「泣いてもダメ。涙のぶん、痩せちゃうよ、泣かない方がいいよ」
ぺろりとパンを平らげ、指を舐め取りながらレンは言った。
「レンちゃんのいじわる!嫌いだっ」
「嫌いで結構〜。あたしはマッチョでガッチリした彼氏捕まえるもーん」
「うわあああん」
「……ねえあれ、なんのコント?教室のど真ん中で」
ヒソヒソ。女子の噂話。
「あーあれ、年中行事だよ。幼なじみなんだ、アイツら。昔っからシュウがレンにベタ惚れで半ストーカー状態」
「ええええっ。シュウくんてうちの高校の1年のイケメンNo. 1だよ? 3年生まで狙ってるという噂もある」
そのNo. 1が、レンを?
信じられないと目を見開く。
「まぁ気持ちも分からんでもない」
レンはそのう、どう見てもイケメンと釣り合う容姿はしておらず、なんというか、とてもぽっちゃりとおおらかな体格を持て余すような女の子だ。
「アンタマジでうざい。いったいどうしたらあたしのこと諦めてくれんのよ」
ほとほと呆れた顔で、レンが言った。
シュウは眉間に皺を寄せてむうと考えた。考え抜いた末こう言った。
「レンちゃんが痩せたら、俺、諦めるよ。二言はない」
「それって本当? うそじゃないわね」
キラんとレンの目が光る。
生真面目にシュウは頷いた。もちろん、と。
「その代わり俺がレンちゃんより太ったら、俺と付き合ってよ。約束だよ?」
二言はないよねと聞かれて
「もちろん。よーし、見てなさい。アタシ痩せてやるから。シュウが太るより先に、ぜったい」
鼻息荒く言い切った。
「そうはさせるか。俺も今日からガチで食べて、ぜったいレンちやんよりでかい男になってやる、見てろ!」
2人の間で火花が散った。バチバチ。
ガチだーーガチだわ。周りで見ていたギャラリーは息を呑んだ。すごい気迫だ、2人とも。
ーーん?
なんか、おかしく、ないか……?今のやりとり。
シュウ(秋)とレン(恋)のドタバタの恋の行方は、またの機会に。
#秋恋
9/21/2024, 12:18:10 PM