「明日、週刊誌に不倫報道が出る」
帰ってくるなり、うつろな目で告知された。
特撮出身の正統派イケメンで通っている彼だから、事務所に相当揉まれたのだろう。今朝までしゃんとしていた顔が、玄関に突っ立って、なんだか衰えている。
「あのね」
私は革靴を脱ごうとしていた彼を短い一言で遮った。彼が緩慢な動きで脚を止める。
「私、あなたが不倫してること、とっくの昔に知ってた。まだ売り出し中のグラビアの子だよね。清楚系で巨乳の」
中途半端に片足立ちになっている彼の心臓の音は、無音の中、こちらまで聞こえてくる。
「何も知らないと思ってるのは、パパだけだよ」
「……そう」
つい聞き逃しそうな声で、ごめんね、と謝ってきた。いまさら謝られても遅いっていうのに。
1/30/2025, 3:27:25 PM