誰かのために、ゴミを拾ったり足りないものを補充したり、譲ったり、綺麗にしたり募金したり。
そういうことをしている自分を、いつもの醜くて愚かで、無価値なゴミよりましなものに思える。
そうやって汚い自分を誤魔化して、自分勝手で嫌われる側の人間を見て心の中で見下して嘲笑った。
そうやって自分をましな人間だと自分自身を騙し続けることに快感を感じてはまっていった。
ある日、その自分勝手で嫌われる側の人間をいつものように心の中で馬鹿にしていたら、そいつを救おうと、本当は優しい人間なんだと信じて疑わない奴がいきなり現れた。
そいつを救おうと、変えようと怒って信じているのを見て、どうしようもない自己嫌悪に襲われた。
鏡で見た自分は酷く歪んで腐っていた。
なんて醜いんだろう。絶望して視界がどんどん暗くなっていく。
ましなものになろうとすればするほど醜くなってゆく。
誰かのためになるならと行動するあいつを見れば見るほど堕ちていく。
誰かのためになるならばという言葉が、酷く遠く感じた。
『誰かのためになるならば』
7/27/2024, 9:42:26 AM