桜川 猫未

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手紙の行方。
私が書いた手紙、読んでくれましたか?
読んでません、風に飛ばされたんです。
子供みたいな言い訳ですね。
っ、本当なんです。
そうですか、まぁ、いいです。
ついてきてください、
はぁ、
それにしても手紙、何処に行ってしまったんでしょう。

くしゃり。
少女が手紙を強く握っている。
「的場」
そう書かれた手紙は、彼女の手にある限り
読まれることはないだろう。
あるいは、破り捨てるかもしれない。
でなければ、燃やしてしまうかもしれない。
「彼の手に渡るのが一番危ない。」
少女は呟き、スッと消えて行った。

まぁ、彼女が持ってるなら何とかしてくれるだろう。
そういうものなのですか?
ふふ、人間は難しいよ、
なら、辞めてしまえば良いものを。
そういう考えもした時期もあったかな、
                        ✡



夏目友人帳より

2/19/2025, 8:34:36 AM