森瀬 まお

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僕は想大。スリルをできる限り回避していきることが人生のスローガンだ。
僕のクラスには、ちょっと変わった不思議ちゃんがいる。
不思議ちゃんはよくスリルにはしる人だ。
例えば、数学の時間に発言を求められれば、誰よりも早くてをあげる。
でも、その答えがいつも
「えっと・・・、12さんと、23さんは足し算で仲良し状態なので、答えは35さんになると思います。」
みたいな、いかにも不思議ちゃんって感じの解答だった。
モブ男の僕には、なんでそんなスリルまんてんな答え方ができるのか分からなかった。
でも、成績は常に上位だったし、不思議な説明ではあるけど、内容はきちんと合っていて分かりやすいと、
人望もかなり厚かった。

そんなある日、学級委員を決めることになった。
学級委員とは、各クラス男女一名ずつのクラスの代表のことだ。
女子はもちろん、満場一致で不思議ちゃんに決まった。
男子は、立候補者がおらず、推薦で決めようということになった。
男子には押し付け合いの雰囲気が漂っている。
女子は固まって相談をしている。
「女子でまとまった意見です。」
書記係の愛夏さんが意見を発表し始めた。
「女子で話し合った結果、満場一致で想大くんが良いという意見になりました。」
「えぇ?!」
男子全員が、意外という目で僕を見てくる。
そんな僕が一番びっくりしている。
想大とは、紛れもなく僕なのだ。
「じゃ、男子は想大で・・・」
先生が勝手に決めようとしている。
「ちょっと、待ってください!!!!!!!!
 無理です!そんなスリルまんてんみたいな仕事任されたら、僕の心臓がもちませんよ!!」
「それが面白いんじゃん!」
いつもより明るい不思議ちゃんの声が聞こえた。
「スリルってのは、チャレンジした人にしかわからない、森のクマさんがはちみつをみつけた気分なんだよ!
 それに、女子に満場一致で選ばれたのに、それを断る方が、よっぽどリスキーなんじゃ・・・?」
ぐっ・・・、痛いところをついてくる・・・・
不思議ちゃん、そういうところあるんだよな・・・
「想大くん、困ってるとすぐ助けてくれるし」
「まわりがよく見えているし」
「仕事も頼んだら、すぐやってきてくれるし」
周りの女子が口々に言い出した。
──スリルってのは、チャレンジした人にしかわからない、森のクマさんがはちみつをみつけた気分なんだよ。
スリルはチャレンジした人にしかわからない・・・・か。
たまにはやってみるか!

このとき、僕の人生のスローガンが変わった。
スリルよ、どんと来い!!!

















#スリル

11/12/2022, 10:58:30 PM