【1000年先も】
「1000年先はどうなっているんだろうな」
部活後に夕食を摂り、帰宅している途中だった。
瞬く星で覆われた空を眺めながら友人はいった。それをロマンチストなどと一笑してもよかったが、僕は少し乗っかってもいいかという気分になっていた。
「もしこれからも人類が続いていたら、科学がどのように進歩しているのか気になるね」
「理工学部の学生は勉強熱心だなあ」
友人は苦手な理系分野を思い出し眉を顰めるが、歩く足をふと緩めた。
「1000年先の人類にも、勉強をしてご飯を食べて空を眺められる時間が続いているといいよな」
「……そうだね」
その未来にするには僕たちも勉強を頑張らないとなと付け加えると、友人はうわあ〜と情けない声を出して、ヨロヨロと歩道のガードレールにぶつかっていった。僕は思わず笑った。
1000年先も、人々には優しい友人と出会える世界が続いてほしいと、夜空に願った。
2/3/2024, 5:40:18 PM