作品No.136【2024/08/14 テーマ:自転車に乗って】
夏休み。
母方の祖母の家の敷地内にある駐車場で、自転車の練習をしていた。結構な坂道を往復しては、時間を忘れて乗り回していた。
そんな私達を、祖父がそっと見ていた。目が合うと、素知らぬ様子でいなくなってしまう。おそらく、祖父なりに見守ってくれていたのだろう。今思えば、見た目はこわかったけれど、不器用でシャイな人だったのかもしれない。私達姉妹と、従妹に、自転車を買ってくれたのも祖父だった気がする。
そんな祖父が亡くなって、十年以上の月日が流れた。
もうすぐ旧盆が始まる。祖父もきっと、曾祖母と帰ってくるだろう。
自転車なんて、もう乗り方も忘れてしまったけれど。
あの夏の、祖父のことは、なんとなく今も思い出す。
8/14/2024, 2:56:35 PM