な子

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【ぬるい炭酸と無口な君】

夏の放課後と校舎裏。
溶けそうな暑さと蝉の声。
ぬるい炭酸と無口な君。

「これが三題噺のお題?」
「そう」
「三つじゃなくない? と、を入れるのはズル」
「でも書けるようになりたいんでしょ」
友人は、にやっと笑って原稿用紙をあたしに渡す。
幽霊部員でもいいから部活に入ってと頼まれて。
のらりくらりと過ごしていたら。
文化祭の文集に載せる作品を書けだなんて。
仕方なく、あたしはペンを握る。
「むかしむかしあるところに……」

8/3/2025, 8:44:53 PM