#特別な存在
貴方は、特別だ。
命なんて、差し出す価値があると思えるほどに。
昔から、人に興味がなかった。
名前も、誕生日も、顔すらも、気づけば抜け落ちていく。
どうせこの性質は、死ぬまで変わらないのだろうと、
どこかで諦めていた。
なのに、貴方だけは違った。
名前を覚えた。
声を覚えた。
指先の癖や、ふとした視線の流れまで、やけに鮮明に残る。
仕草も、匂いも、思考も。
貴方を構成するすべてが、気になって仕方がない。
いっそこの命を、丸ごと使い切ってしまえたなら。
貴方のために消費できるなら、
それはきっと、最も正しくて、美しい終焉り方だ。
――それなのに。
同時に思う。
壊してしまいたい、と。
貴方の形を崩して、
綺麗な部分も、醜い部分も、全部暴いて、
抵抗できないところまで堕としてやりたい。
そうして初めて、完全に手に入る気がするから。
ここまで狂わせるのは、
やはり貴方が特別な存在だからだ。
3/23/2026, 11:14:58 AM