いぐあな

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300字小説

『不死の薬』

「私がその魔術書に書かれた『不死の薬』を飲んだ人間の一人です。もう一人は書の著者、私の恋人ですわ。彼は私と永遠に生きる為に薬を開発し、でも、飲むときに分けたとき、どこかに差が出たのか、八百年生きた後、急速に老い亡くなりました。私を置いていくと知りながら、私を殺すことは出来ないと謝罪して。それからの人生はお察し下さいまし。そして、やっと、この書を読み解き、薬を再び作ることの出来る魔術師が現れたのです。お願いです。私を永遠の地獄から解き放って下さいまし」

 呪文を唱えると彼女は礼を言いながら、サラサラと崩れ消えていった。
 作った『不死の薬』を無効化し、投げ捨てる。瓶の割れる音が冬枯れの森に小さく響いた。

お題「永遠に」

11/1/2023, 11:56:18 AM