紅茶の香り
一浪して予備校に通っていた時、毎日、毎晩とにかく勉強ばかりしていた。もうこれ以上親に迷惑はかけられないし、来年は必ず大学に合格しなければならない。
それでもずっと勉強ばかりしていると気持ちが滅入ってくる。本当に勉強が好きな人は楽しく勉強できるのかもしれないが、私は無理だ。息抜きしたい。何でもいいから勉強から少し離れたい。
あー。しんどい。
予備校があるから旅行には行けない。買い物やウインドショッピングでもいいが、勉強していないことが罪悪感となってちっとも買い物に集中できない。
そんな時に出会ったのが紅茶だ。コーヒーでもいいが、勉強で疲れた頭と体を癒やすためには、苦みより少しの甘みが欲しいもの。かと言って、ロイヤルミルクティーほど手間はかけられない。紅茶に砂糖とミルクを入れるだけのものが、最高に癒される。
よし!頑張ろう!
次の3月に大学に合格し1人暮らしを始めた。今でも紅茶の香りがするとあの時の辛さや苦しさが蘇るが、一口飲めば心が落ちつき癒されていく。
私にとって紅茶は最高の宝物だ。
10/27/2024, 10:59:46 AM