エリィ

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その日の朝から、俺はソワソワしていた。
今日は面接に行ってから5日目。
まだ手元に返事が来ない。

俺の兄は、昼食後のコーヒーを飲みながら、優雅に新聞を読んでいる。インスタントコーヒーの香りがふわりと漂った。
今日はリモート出勤なので、昼休みを優雅に楽しんでいる。
羨ましいぜ。

何度も時計を見ては、そわそわする。
郵便配達員のバイクの音がしないかと、何度も耳を澄ませていた。

とにかく嫌な予感がする。
何しろ何の便りもないからだ。
俺の中がざわめいて落ち着かない。

そんなときは深呼吸だ。
あまりそのことばかり考えすぎないようにしなければ。
悪いことは考えない、考えない。
大丈夫。俺はベストを尽くした。
あとはただ、天に任せるのみだ。頼むから採用されてくれ……!

その時だった。

「郵便だ」

新聞を読み終わった兄さんは郵便物をいつの間にか取りに行っていた。
気づかなかった。
そんな俺に、先日面接に行った先の社名が入った封筒を手渡す。
俺はとりあえず開けた。
そのとき、電話がかかってきた!
「はい……! はい、はい、はい……」

俺は込み上げる感情のまま通話を切った。

「おいしいもの食べに行こうか」

兄が、ぽん、と俺の肩に手を置いた。

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採否はお任せします


お題 心のざわめき

3/15/2025, 1:12:38 PM