風の強い夜が好きでした。
私じゃないですよ。2人目の姉がです。
そーですね
昔から、特に風の強い夜
姉がいなくなることが度々ありました。
最初に居なくなったのは私が物心着く前ですかね
なのでこの話は母から聞いたものなのですが、
姉が確か5歳の時、ええもちろん風の強い夜です。
どこか遊園地に行った帰り道だったと聞いています。
遊園地と言っても地元にある昔ながらの小さな
はっきり言ってしまえばしょぼいとでも言えますかね。
もちろんその日は1人目の姉も一緒にいました。
私ですか?私はまだ2歳の赤子なもので
母方のお婆さんに預けられすやすや眠っていたことでしょう。
飼い犬のごろちゃん?その時はまだであってませんよ
その時は、
話を戻しまして、
そんな近場の遊園地から歩いて家に帰っている時のこと
母も父も1人目の姉も誰も気づかないうちに
コツンと姉は姿を消したようです。
手を繋いでいた父ですら気づかない。
恐ろしい話です。
姉と私以外の家族3人は姉の名前を叫びながら来た道を戻ったり脇道を探したり逆に家の方を探したり
それから少ししてまたみんなが元の場所に戻った時
蛍光灯の下で風に吹かれる姉の姿があったと言います。
姉は自分の胴程の大きなダンボールを抱え、
その中から弱々しい子犬の鳴き声が響いていました。
ええご察しの通り、その犬が今の飼い犬ゴンチャんです。
えぇ?名前の由来?そんなの適当ですよ多分
その日以来、
風が強い日に度々姉がいなくなるようになりました。
もちろん2回目3回目4回目
小学一年生が数えられるくらいの数くらいまでは
毎回慌てて毎回血眼で探しました。
ただ10回もいなくなってしまえば
誰も慣れてしまうもので
物心つきたての私なんかは風が強い日は姉がいなくなる日
という方程式を組み立てたもので、
なんの疑問もなくこんにちに至ってしまいました。
風が強い日、姉がいなくなる日
どこに行ってしまうのかは分かりません
されど姉は風の強い夜が好きだと言います。
5/15/2026, 9:34:15 AM