中学生

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休日の夕方、俺は買い物を終えて帰ろうと店から出た。外は夕陽が光っていてカラスがカーカーないている。
俺は夕暮れという時間帯が好きになれない。
何故ならこの時間帯にいい思い出がないからだ。
車に乗れば老人が邪魔なところを歩き出し、小学生の登校班が横切り、渋滞に巻き込まれる。
そして自転車に乗れば人通りが多く、運転しにくい。
河川敷を歩けばホームレスがいて穢らわしい。
俺がこの時間帯に機嫌がいいということは絶対にない。
それに反して朝はいい。朝5時に起きて夕陽を見ながら軽食を食べ、ジムにいき、プロテインを味わう。飴玉を舐めながら歩いて帰宅しシャワー。想像しただけで最高の時間だ。朝は賢者しかいないのだ。
しかし、7時ともなってくると、主婦やらリーマンやら生意気な中学生らがだらしなく起き初めて鬱陶しいのだ。
俺はそれだけこの2時間の差は大きいと思っている。

しかし、嫌いな夕方にはいい事もおこりやすい。
例えば、美人が目の前で転けて助けてあげたら飴玉を貰ったり、白猫を見たりだ。
それに、夕方を過ぎれば夜だ。夜になれば俺は地下街にある小さなBARに行く。そこには酒友達とでもいうか。
歳も違うし、酒の好みも違うが少なくとも週3で常連通し言葉を交わす。その時間も朝と同じくらい好きなのだ。

しかし、やはりそうポジティブに考えても夕方は嫌いだ。どうしてもって訳じゃないが、子供の頃から遊びから帰らないといけないという理由で嫌いだった。だから時が経つにつれ意味もなく「嫌い」が膨れ上がっていったような感じだ。

まぁ、こんなこと考えているうちにもう家に着いたので良しとしよう。

まぁ。こんな俺にも人妻ってもんだ。妻だけには目がないのだ。

俺は妻に尋ねる。

「俺がプロポーズしたの、いつだったか覚えてる?」

「そりゃ覚えてるよ!六月の二十八日、私の誕生日の夕方だよね?」

「よく覚えてるな。」

「なんで夕方だったの?ディナーの後とかだったらロマンチックだったのに」

「あぁ、夕陽でお前が光ってその横顔があまりに綺麗で、結婚しようって言っちまったんだよ。それに、嫌いな夕方が好きにできるチャンスだと思ってな」

「もうそんな大袈裟なぁ!!」

妻は嬉しそうにするが、しきりに不思議な顔をして、夕方は今も嫌いじゃない、どういうこと?と聞いた。

「あぁ、おかげで、お前と過ごす六月二十八日の夕方だけ好きになったよ」

「なにそれ、抽象的(笑)」

二人で少し笑ってからまた、日常に戻る。

俺は夕方は嫌いだが、夕日は好きだし、妻が好きだ。

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なんか変に極端な話になってしまった..



10/20/2024, 3:49:39 PM