スランプななめくじ

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空が泣く。私を見兼ねて。
頑なに涙を流さない私を嘲笑うように、
傘を差す間もなく頭から足元までを濡らした。

冷たい雨の筈なのに、頬だけが何故か温かくて。

嗚呼、ついに泣いてしまったのか。
空よ、私の負けだ。泣かせるのが上手い奴め。
一粒溢れたら、もう止まらない。
歯止めを失った涙は気の済むまで溢れ落ちる。



ふと、雨が止む。
否、私の頭上に傘が差された。
ずぶ濡れの私を抱き締める彼によって、
私の涙を雨粒ごと拭った彼によって、
私の雨は泣き止んだ。

冷えた身体は、彼の体温を求める。
彼の優しさは、酷い程に熱かった。

9/16/2024, 3:21:06 PM