「なぁ~にが『Kissしたくなる唇に』だ、アホらし」
一回使っただけのグロスをポイっとベッドに放り投げる。
可愛らしいパステルカラーに不釣り合いのデカデカとしたポップ。
それにまんまと踊らされた自分が憎らしい。
今日、彼女と仲睦まじく歩くアイツを見てしまった。
繋がれた手。楽しそうに話す姿。漂うハッピーオーラ。
完全敗北。負け確定。
勝負なんて、始まる前に終わっている。
「あぁ゛~!」
可愛げの欠片もない声で唸る。
告白する勇気を出さなかったくせに。
一歩踏み出さずして、関係を進展させることなど不可能。
ぬるま湯に浸かって満足した気になってたのは、紛れもない私だ。
にも関わらず、未だに未練がましくしがみついてる、私が1番アホである。ちくしょうめ。
2/4/2024, 12:29:05 PM