『誰も居ない教室』
移動教室の時に忘れ物をして、ひとり教室に戻った。
誰もおらず静まり返るその場所は、なぜかとても不安になった。
「私の机…」
授業開始まで残り3分ほど。慌てて自分の机に向かい、引き出しに手を入れる。焦っているので目当てのものを見つけられず、しゃがんで引き出しの中をのぞき込んだ。
「あ、あった!……え?」
目当てのファイルの下に、見覚えのない封筒を見つける。
取り出して、表と裏を確認するけど、名前は無い。
封が閉じられていないそれは、すぐに中身が確認できる。
どうしても気になってしまい、ドキドキしながら、それでも急いで手紙を出した。
『放課後、〇〇公園で待ってる』
1文だけの、文章。
〇〇公園とは、私の帰り道にある公園。
文字だけ見ても、誰か分からない。男か、女かも分からない、丁寧で綺麗な文字だった。
胸のドキドキが止まらなくて、しばらくぼーっと手紙を見つめてしまった。
授業開始のチャイムが鳴り響き、私は肩を震わせる。
「あ、授業!!!」
慌てて手紙をしまって、移動先の教室へ向かうことにする。
特別可愛いわけでもなく、目立つこともない平凡な私が、こんな風に手紙をもらうのは初めてだった。
少女漫画は好きなので、あらぬ想像力に刈り立てられた。
誰も居ない教室を、私は最後に振り返った。
9/6/2025, 1:24:46 PM