─愛を叫ぶ。─
今、僕らは屋上にいる。
僕は扉を出てすぐの所。
君は僕の目線の先。
フェンスの先にいる。
君は死のうとしていた。いじめのせいで。
「ごめんね。もう耐えられないの、こんな世界に。」
君はそう言った。
今から君に手を伸ばしても届かないだろう。
ならば、せめて君に伝えよう。
僕の想いを。好きだったことを。
僕は感情をあまり表に出さなかった。
そんな自分でも嫌になる癖のせいで、
君に伝えようとしても、伝えられなかった。
否、好きだと信じて貰えなかった。
でも君の最後なら話は別だ。
今なら想いを伝えられる。信じて貰えると思うから。
最後ぐらい、感情を出してもいいよね。
だから僕は愛を叫ぶ。
「ずっと前から好きだった。これは決して嘘じゃない。」
5/11/2023, 7:09:41 PM