薔薇を貴方に。

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─ささやき─

ささやき声が聞こえると耳を塞いでしまう。

"ささやくな!ささやくな!ささやくな!ささやくな!"

心の中で叫んでしまう。僕に向けられて言われているような気がして。
ささやき声が胸にチクチクと針が刺さるようにして痛い。

「どうした」
急に声をかけられて驚く。そこには親友がいた。
「耳なんか塞いでどうした」ゆっくりと耳から手を離す。
「僕、ささやき声が怖いんだ」と打ち明けると親友は気にすんな、とだけ一言言って去ってしまった。気にすんなとか言われても気にしちゃうんだよ。

そして教室まで帰る廊下が僕は1番嫌いだ。廊下には人が沢山。廊下を歩くと僕のことについて囁かれてる気がして廊下が長く感じる。

ついつい教室まで行く廊下の目の前で止まってしまった。
怖い。足が震える。また何か囁かれるかも。
そんな事を思っていると親友が背中を叩いてきた。
「歩け」
「え?」戸惑っていると親友は言った。
「怖いなら俺が一緒に行ってやるよ。だから歩け。気にすんな」
やめてよ、だから気にしちゃうんだってば、

「怖いんなら俺が隣でずっとささやき声が聞こえないくらい喋ってやるよ。だから一旦落ち着け。ビビんな。歩け。俺がついてるから気にすんな。お前に悪いとこなんて1つもないから。親友の俺が保証する。」

とささやかれて僕の背中を押しながら親指をグッと立てる。
親友と一緒に廊下を歩く。長く感じていた廊下が少し短くなったような気がした。


─親友のささやき─

4/21/2025, 1:14:10 PM