ノーネーム

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どんなに嵐が来ようとも
君は傘をさすのを諦めなかった
もはや原型のない傘の柄を
必死に掴んでいた

その小さな手だけは熱を失わないでいた

「諦めればいいものを」
僕はずぶ濡れで見ていた
抗うからしんどいのだ
ただでさえ荷物は雨で重たいのに

無性にイライラした
そうか
冷えた僕のこの手には何もない
だからか

不器用な強さでいい
君のような熱が欲しい

嵐が去った後の
君の瞳に映る色が見たい



7/30/2022, 3:27:21 AM