この森は静かである。蟻は、蟷螂を運んでいる。狐は、鼠を咥えている。人の炊いた火に、蝿が飛び入る。いつもどこかで命が絶えているこの森は、静かである。四十雀の卵が孵る。小鹿が落ち着きのない足で立つ。柔らかい土から、若葉が顔を出す。いつもどこかで命が芽吹くこの森は、音に溢れている。溢れた音の中で、母の声を探す。今日私は、静かな森へ帰る。
5/11/2025, 8:51:17 AM