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お題「無色の世界」

色がないって、悪いことだろうか
色を見せなきゃ、いけないだろうか

赤旗あげられ笑顔で踊り、青旗振られて俯き黙る。
誰かの顔色こっそり見ては、赤字か黒字か、気にしてる。

でも、あの日、何故か気になった。
あのこが漏らした、鋭い声。
心の中に刺さったトゲは、淀んだグレーを滲ませている。

どうしていいかもわからないまま、他人を眺めて、色を探す。
ワインレッドなイケてるあなた
シアンブルーのクールなキミ
そちらは不思議なライムグリーン
見栄っ張りなあいつはネオンパープル
どれも自分には、不相応に見えた。

それでも自分なりに、色々な色を着てみたけれど、やっぱり、長く着るには重苦しい。
たくさんの服を抱え込んでは、ただ色のない色で着飾っている。

けれど見かけた。
塗りつぶす様な土砂降りの中で、黒い泥水に沈んだあのこ。

集めた色を漁ってみても、何を着ていいか、わからない。
気がついた時に握っていたのは、陳腐で平凡なビニール傘。

何も言わずに、傘をかざす。

見上げたあのこの濡れた瞳は、何も映さない、くすんだ透明。
少しの間、見つめ合って、あのこも傘に手を重ねた。

無色透明な時間に留まり、何をするでもなく、そこにいる。
極彩色から切り離された、何色でもない、そのままの世界。

色がないって、悪いことだろうか
色を見せなきゃ、いけないだろうか

ただ今は、何色でも、何色でなくても、いい気がする。

4/19/2026, 9:55:08 AM