はと

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きい、と鳥籠の扉が開いた。
そっと顔を出して本当に開いていることを確認して、扉を開けてくれた人を見上げる。
その人はにこりと優しそうな笑みを浮かべて、四角く切り取られた空の向こうを指さした。

「もう飛べるでしょ、お行きなさいな」

確かに痛みはどこもない。飛ぼうと思えば飛べるのだけど。
一向に飛ばないのを見て、その人は不思議そうに首を横に傾ける。
それから呆れた様に笑いながら、そっと鳥かごの扉を閉めた。

「なら、これからも一緒に暮らそうか。可愛い小鳥さん」

応えるように鳴いてみせると、嬉しそうにその人は笑ってくれて。
空をまた飛びたいとも思ったけれど。
今は、鳥かごの中でこの人の笑顔を見ながら暮らしたいと思ったんだ。


「鳥かご/20240725」

7/25/2024, 1:35:20 PM