昔から魔法少女は私の憧れだ。
魔法のステッキを片手にふわふわのスカートとリボンたっぷりの装飾のワンピースで決めポーズをする姿が大好きだ。
敵を倒すシーンや他のストーリーには目もくれず、オシャレに変身してからの決めポーズまでしか記憶にない。たぶん魔法少女よりオシャレな変身が好きなんだと思う。
自分がそうなりたいとは思わないし、画面の中でしか観られないところに憧れが詰まっている。夢は夢のまま綺麗なままでいてほしいという私のこだわりなのだ。
真っ暗な部屋に帰ってくると沈んだ気分が少し和らぐ。明かりをつけて引き出しに隠したノートとペンを机の上に並べたらもう最高だ。ページをめくるたび架空の魔法少女と私好みの衣装が現れてワクワクする。映像をつくれるほどの技術はないけど絵を描くのは割と得意だ。ネットや本で服飾の情報を集めて、人体の描き方も勉強して、憧れの魔法少女を描く。
なんの楽しみもない人生に花を添えてくれる可愛くて素敵な魔法をつかう特別な存在。いつか映像もつくってみたいな。
【題:暗がりの中で】
10/29/2024, 3:32:24 AM