喧騒はあまり得意ではない。
少なくとも、数百年前まではそうだった。
なのにどうしてか、最近は喧騒も案外悪くないと感じている。
それもこれも、俺の隣で賑やかに笑っている此奴のせいだろう。
楽しい事が大好きだと語るこの白翼の生き物は、時折頭上の光の輪を指先で弄びながら些細なことさえ心底楽しそうに話している。
数百年前までは騒がしく落ち着きのない此奴に苛立つことも多かったが、付き合いも千年を過ぎれば慣れてくるというか……
常に寝食を共にするようにもなれば、逆にこの騒がしさが無いと落ち着かなくなってしまうものだ。
翼の色も性格も対照で、種族も違う。
片や大天使、片や烏天狗
…いや、正確には俺は迦楼羅の化身らしいが。
まぁそんな白黒の組み合わせが友人から親友へ、親友から夫婦へと関係を変えて今こうして縁側で肩を並べて語らっているのだから、人生何が起こるか分からぬものだ。
しかも、今やとうに巣立ってしまったが可愛い娘を二人も授かり、再び2人きりになったかと思えば人里ではぐれた人間と天使の若造二人を拾い…
あぁまた俺達の背後の台所で若造2人が仲睦まじく騒いでいるな。
男4人の暮らしは毎日が祭りのように騒がしいが、存外悪くはないものだ。
今はそう、心から思っている。
7/28/2024, 5:00:12 PM