柊文月

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「大丈夫よ。私はいつでもあなた達のそばにいるわ」
小さかった私と弟の頬を撫でてくれた母。
そんな母も五年前に亡くなった。
「本当にお前達は可愛いな〜」
私達を抱きしめながら父は言う。
私は中学三年生になり、弟も中学一年生になった。
そんな父も四年半前に居なくなった。
今、私は大学一年生になり、弟は高校二年生だ。
今でも父は見つからないままだ。
確か父さんが居なくなった日もこんな綺麗な夜空の日だった。

「ねぇさん。そんなところにいたら風邪ひくよ」
「ちょっとだけ夜風に当たりたかったのに…わかった、すぐ戻るから先に戻ってて」
「はいはい。早く戻ってきてね。僕が桐絵に怒られる」

扉が閉まる音がして私はもう一度、星が散らかる空を見た。
すると流れ星が通る。
「私の父さんもこの景色を見てるかしら」
そう呟くと自然と私の頬が濡れた。
雨が降った訳でもないのに。

────両親を失ったとある姉弟の話────

9/16/2023, 4:15:53 PM