▶69.「Ring Ring ...」
68.「追い風」
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1.「永遠に」近い時を生きる人形✕✕✕
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少し時を遡って。
深夜のイレフスト国内、王宮にて
「いくら戦乱を生き残った機械って言ったって、使う人間がいなきゃなぁ」
「まぁそう言うなよ。おかげで楽して給料が貰えるんだからさ」
「そりゃ違いない」
笑い合う当直たち。
寝ずの番は辛いが、その分給料はいい。
異変あれば報告、それだけの仕事だ。
整備点検をするでもなく、ただ物言わぬ機械たちを見て回るだけ。
今夜も、その通りになるはずだった。
Ring Ring ...
「どうした?急に静かになっちまって」
相方が、『静かに』というジェスチャーをしつつ答える。
「何か聞こえないか?」
Ring Ring ...
二人同時に音の聞こえる方へ駆け出した。
「はぁ、ここだ、F16号室か」
「開けるぞ」
「ああ」
部屋の中では
普段は沈黙を保っている機械が、
Ring Ring ...
寝静まった深夜を切り裂くように
けたたましく音を鳴らして
ここだと言うように、
1箇所、赤く点滅させている。
Ring Ring ...
「ほ、報告だー!!」
「お、お前頼む!足速いだろ!」
「よし行ってくる!」
主張するように鳴り響く音は、しばらくして止まったが、
赤い点滅は数日続いた。
1/9/2025, 4:52:13 AM