はっさく

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私は、学校の廊下を歩いている。

鬱陶しい蝉の声がいつもよりうるさく聞こえた。
この暑さのせいでより鬱陶しく聞こえるのだろう。

教室のドアの前を横切ると中で溢れたエアコンの冷気がぬるっと私の足を通り抜ける。

ジリジリとした、真昼の南中した太陽が窓から差し込む
私はそれを鬱陶しく思って、給食の分重くなった身体で
日差しを避ける。

窓の外は、いつもと違い静かだった。今日は暑すぎるから、中学生男子たちもふざける元気もないんだろう。
それにしても、暑すぎる。地球温暖化恐るべしだ。

私は学校の廊下を歩いている。

私は首をひねる。

そういえば私はどこへ向かっていたんだっけか。

クラスメイトと目的地は同じだ、近くにいるであろう
彼らに目的地を尋ねようと、振り返った。

だれもいない。

私はさっきから一度でも誰かとすれ違っただろうか。

蝉の声がどんどん大きくなってくる。

それに反して、人の声は一切聞こえてこない。

学校に人の声がしないというのは…

私はぎゅっと手を握りしめた。

私はきっと夢を見ているんだ。
そう、自分に言い聞かせる。

ミーン。ミーンミンミンミーン。
蝉の声が耳元で聞こえている気がする。

夢?これが?こんなにもリアルな感覚が?

窓から差し込んでくるジリジリとした日差しも、蝉の声も全てが夢?

そんなわけがない。

そんなわけがないんだ! きっと、誰かいる。

耐えきれなくなって走り出した。
無意識に自分の教室にたどり着いたみたいだった。

教室はエアコンで冷え込んでいて、肌寒かった。

誰かしらいるはずの教室には誰一人いなかった。

耳元の蝉の声は止まない。

机の上には、教科書やノート、シャーペンが乗っかっているのに、人の痕跡はあるのに、人だけが存在しない。

ミーン。ミンミンミンミーン。
自分の頭の中で反響しているような蝉の声。

私は恐怖に駆られて、うずくまり叫び声を上げた。

椅子のガタッという音で、顔を上げた。

数学教師の居眠りしている生徒に向けた落胆した表情が目に飛び込んできた。

やっぱり夢か。
私は、深く息を吐いて、先生に会釈をした。
先生は不服そうな顔をして授業に戻った。

チャイムがなって、授業が終わる。

次の授業はどうやら、理科室らしい。
急いで荷物をまとめ、友だちと一緒に理科室に向かう。

私は学校の廊下を歩いている。

鬱陶しい蝉の声がいつもよりうるさく聞こえた。
この暑さのせいでより鬱陶しく聞こえるのだろう。

『真昼の夢』

7/16/2025, 2:47:54 PM