照守皐月

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正月といえば、炬燵に入ってミカンを食べることが恒例行事である。身体の大半を穏やかな熱に包まれている際に食べるミカンというものは異様に美味しい。さっぱりとした酸味が味蕾へと染み渡っていく。

去年からずっと窓の外では雪が降っている。本来であればしなければならない雪かきも、今は休んでしまって構わないだろう。何も年中ずっと働かなければならないわけではない。むしろ働くためには休暇が必要だ。休暇なくして労働は成立しない。これは紛れもない事実。

とはいえ、動かなければ腹に贅肉がついてしまう。事実として正月に入ってから体重が5kg増えた。これが正月太りなのかと感動していたが、よく考えると感動できる要素なんてない。己の怠惰により脂肪がついたというただの因果応報の表れである。

これ以降、私は体重計に乗るのが怖くなった。

でも、逃げてばかりではよくない。ということで運動をすることにした。腹筋と背筋と腕立て伏せを毎日30回3セット、プランクを60秒。これをひと月続けたら、あっという間に痩せることだろう。

……と思っていたのだが、これが思いの外きつい。日頃から大きく身体を動かすことがない私にとっては苦痛だった。結果として、三日と経たずに運動をやめた。

腹には脂肪がつく一方だ。「これ脂肪吸引した方がいいんじゃないの?」と思いつつ、続きもしないダイエットを行う。これに飽き飽きしてきた。

さて、そろそろ頑張った頃合だし、お年玉的な感じで体重を誰かに渡してもいいんじゃないかな?



『怠惰なおじさん』
作・照守皐月/teruteru_5

12/30/2024, 1:18:56 AM