カガミ

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痛くて熱くて苦しくて辛くて。
毎日毎日憂鬱な日々を過ごしていた僕は、気がつくとどこまでも真っ白な空間に立っていた。
「こんにちは」
戸惑う僕に自分より背が高いお姉さんが声をかけてくる。
「一緒にあそぼうか」
あいさつも返せない僕を気にすることもなく、お姉さんはかたまる僕の両手を引いた。
真っ白な世界にはいつの間にかブランコやすべり台が現れていて、お姉さんに促されるままに僕は1つ1つの遊具で順番にあそんだ。
「…たのしい」
「ふふ、よかった」
ぽつりと呟いた僕の声にお姉さんは嬉しそうに笑う。こんなにあそんだのは生まれて初めてだった。
「ちょっと休憩しようか」
流れるような動きでお姉さんの膝の上に座らされる。知らない間に息が上がる程あそんでいたらしい。お姉さんの膝はとても気持ちがよくて、気を抜くとねむってしまいそうだった。
「…」
けれどここで寝てしまったらこの幸せな空間が終わってしまいそうで。目が覚めたらいつもの苦しい日々が始まるかと思うと怖くてしかたなかった
「大丈夫大丈夫…起きてもここにいれるよ。貴方が望むならいつまでもいていんだよ」
僕の頭を優しく撫でながらお姉さんが囁いた。強ばっていた気持ちがゆるゆるととけていく。
いいのかな。いいんだよね。だって疲れちゃったんだもん。
遠くから聞こえる大好きな人たちの声に耳を塞いで、柔らかく暖かい白いお姉さんの膝の上で僕は眠りについた。

「…残念ながら…ご臨終です…」
「…ーっ!!!」

ごめんね、おかあさん。おとうさん。
ばいばい。

5/1/2023, 9:04:21 AM