星に願っていたら、星が落ちてきて、目の前の窓枠に腰掛けて言う。
「やめてくれよ。俺達にそんな力はないよ。神社にでも行ってくれよ」
「いや…そう言われちゃ身も蓋もないんだけど、このスタイルはずっと昔からのもんだろ。叶わないのもそれなりに承知の上で…」
「冷やかしかよ。そんな力もないって分かってて持ち上げようってか。ホント、性格悪いよな」
「友達みたいに言わないでくれよ。分かったよ。願うのはやめる。ところで、君はなんて星?」
「俺?俺は…願い星」
「…」
「いや、名前だから。しかも、俺達星の名前は、君達が勝手につけたんじゃないか。発見した人の名前だったりもする」
「何も言ってないよ。イイ名前だと思う。ホントは、願いを叶えてくれたりするんじゃないの?」
「だから、そんな力はないって。ほとんどが水素とヘリウムガスで出来てるんだから。地球が願いを叶えてくれるかい?」
「地球に…願ったことはないかな。何となく、何となく上を見ちゃうんだよな」
「へりくだり過ぎだよ。もっと自信を持て。自分の力で願いは叶えられる。そう信じるんだ」
「さすが願い星。そうやって僕達を…」
「やめろ。俺はもう帰る。無駄な願い事はやめるんだな。…ちなみに、何を願ってるんだ?」
「ん…今は、あの星達がいつまでもキラキラと輝いていますようにって。あんまり綺麗だったもんだから」
「…そうか。うん、頑張るよ。その願いは、俺達も叶えたい」
「僕も、個人的な願いは、自分の力で叶えられるように頑張るよ」
「うん。星に願ってくれて、ありがとう。願い星として、聞き入れるよ」
「そっか。じゃあこれからも星達は輝き続けるんだね。安心した」
「言ったろ。自分の力を信じるんだ。俺も自分達の輝きを信じる。だから、終わらない」
夜明けが近付く。
星が消えてゆく。
でも、願い星はそこにある。
僕たちの頭上に、輝いている。
そんな夜の、妄想のような空想。
2/10/2025, 5:18:18 PM