KANNE

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わたしが小学生のころ
テレビの洋画劇場では
ホラー映画が多く放送されていた

ホラー映画を一人で観る!
…当時のわたしは
それがなんだかすごいことだと思い
ある日のホラー映画を一人で観ることにした

親は仕事がら9時過ぎには寝てしまう

誰もいない居間で
音を小さくしながらテレビを見ていた

しかし、わたしは怖がりだった

背後から殺人鬼が忍び寄ってくれば
慌てて自分の部屋に逃げ
意味もなく歌を歌って踊り
殺害シーンが終わるころ居間にもどって続きを観る

という、よくわからない鑑賞のしかたをしていた

いよいよストーリーも終わりに近づき
「夜が明けたわ、私たち助かったのよ!」
というセリフを聞いてわたしはほっとした

そして何の前触れもなく現れる殺人鬼

わたしは自分の部屋に逃げるまもなく
そのシーンを見つめていた

その日わたしは
電気をつけたまま寝たのだった

4/28/2025, 11:20:10 AM