ね。

Open App

その巨大な塊は、石ではなく、人だった。
いや、人だったのだが、いまや人ではなくなってしまったもの、なのだ。
その近くには、光に守られたあるものたちの世界がある。



∞∞∞∞∞


昔々、海が大好きで、深く深く潜ることが得意な男の子がいた。いつも海にいて、魚たちと泳いでいた。


ある日、男の子は小さな小さな人魚と出会った。手のひらくらい大きさのの可愛らしい人魚で、すぐに仲よくなった2人は、海の底まで潜ることにした。人魚の大切な仲間たちに会いに行くために。



人魚と共に海の底にたどり着いた男の子は、人魚たちの住む世界に驚いた。陸の上では見たこともない煌びやかな場所だったから。海の底は、まったく暗くなかった。色とりどりの光に包まれていた。



男の子は時間を忘れ、人魚たちと遊んだ。どのくらいそこで過ごしたのかは分からない。いつのまにか、自分身体が人の形をしていないことに気がついた時には、もう手遅れだった。



人魚たちに、悪気はない。
だって、人間が人魚たちの世界に入ったのは男の子が初めてだったから。
誰もみな、人魚たちの世界に入った人間がそうなってしまうことを知らなかったのだから。




…男の子は、目を瞑り静かに横たわった。
共に遊ぶことはもうできないけれど、側にいて、いつも人魚たちの住む世界を守るために、そこにいよう、と思った。そして、人間がここに迷い込まないように僕が壁になって守ろう、と思った。


その様子をみていた人魚たちは、ただただ祈り続けた。男の子の身体は、人魚たちの世界を隠すように大きくなっていった。




巨大な塊となった男の子は、いつまでもいつまでも人魚たちと人間たちを守るために、そこに在り続けるのだろう。






1/21/2026, 7:15:02 AM